日本でウェルスマネージャーとして日本の富裕層とビジネスをし、その後、プライベートバンカーとしてシンガポールをベースに東南アジアの富裕層(その多くは企業オーナー)と長年ビジネスをしてきました。最近、改めて実感していることは、「やっぱり創業者っていうのはすごい方達だ」ということです。

前回のエントリーでは、そのようなアジアの富裕層達とビジネスする上で必要とされるコミュニケーション力について焦点を当てました。今回は純粋に感じていることについて、“創業社長”と“サラリーマン社長”という対比から展開していきたいと思います。

参考: アジアのタイクーンとのビジネスにおいて必要とされるコミュニケーション能力

【日本でよく見られるサラリーマン社長の特徴】

個人的な意見ですが、「サラリーマンとして年収1億円稼ぐこと」と「年商1億の会社を創業する」ことは全く違う価値だと思います。これは極端な話かもしれませんが、いわゆる大企業のサラリーマン社長達よりも町工場を切り盛りしている創業社長達の方に敬意の念を感じます。

その背景にあるのは、日本では西欧諸国のようなプロフェッショナルな経営者が少なく、正にサラリーマン組織の頂点としての社長が多いという実態です。会社規模や会社の利益を拡大することは、サラリーマン社長達にとって、それほどインセンティブのあることではないのではと見えてしまいます。なぜなら、経営陣の自社株の保有数が会社の規模に比して驚くほど少ないケースをよく見かけるからです。この状態では、会社の価値を上げ、保有株式の価値を上昇させたいという動機付けが弱過ぎます。また、ROEもしくは株価に比例して青天井で給料がもらえるということもないため、“サラリーマン社長”というサラーリマンキャリアの終わりに攻めのチャレンジをしようというケースは稀なのではないでしょうか?

ちなみに、こちらの記事に日本と中国の資産10億ドル以上のビリオネアランキングが掲載されています。このランキングを見ても、創業社長やその後継者の富が多いことがわかります。