この記事は2024年1月17日に「第一生命経済研究所」で公開された「2024年度予算修正案のポイント」を一部編集し、転載したものです。


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目次

  1. 2024年度予算案の修正:能登半島地震を受けて一般予備費を追加

2024年度予算案の修正:能登半島地震を受けて一般予備費を追加

16日、政府は昨年末に閣議決定した2024年度予算案の修正を決定した。今年元日に発生した能登半島地震を受け、用途を限定しない一般予備費を追加する。追加額は5,000億円で、全額を赤字国債の追加で賄う。熊本地震の際の「熊本地震復旧等予備費」や物価高騰対策予備費のように使途は限定しない一般予備費とする。24年度の新発債発行額は35.4兆円(修正前34.9兆円)。23年度当初予算35.6兆円との比較ではかろうじて減額の形が維持される。

能登半島地震対策の選択肢としては、「23年度第2次補正予算」での対応も考えられたが、今回は2024年度予算の予備費を追加するという形が取られた。追加分は来年度の予算になるので、執行は4月以降になり、3月までは既存予算で対応することになる。来年度予備費の追加は、①国会プロセス簡素化の観点(補正予算の場合には通す必要のある予算が増える)に加え、②年度内=3月までの経費は23年度予算の一般予備費の範囲で対応可能との判断とみられる。

なお、2016年4月に発生した熊本地震の際には、7,780億円(災害救助関連に780億円、熊本地震復旧等予備費に7,000億円)の補正予算を編成した。今回、既存の23年度一般予備費(地震前時点で約4,700億円)と24年度一般予備費の増額分(5,000億円)の合計は約1兆円程度。実際の予算消化は被害の大きさや復興プランなどによっても変わってくるが、概ね熊本地震に近い対策規模がイメージされているものとみられる。復旧・復興のための公共工事費などに充当されることとなろう。

第一生命経済研究所
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第一生命経済研究所 経済調査部 主任エコノミスト 星野 卓也