本記事は、藏本 猛Jr氏の著書『資産を速く・大きく増やせる ラーメン店投資の極意』(合同フォレスト)の中から一部を抜粋・編集しています。

空き店舗
(画像=Paylessimages / stock.adobe.com)

投資を最大化できるのは3店舗から

多店舗展開では3店舗になったところから効率が良くなることに触れましたが、もう少し詳しくお話しします。

なぜ、2店舗より3店舗が良いのかというと、人員の行き来が容易になります。2店舗ではそれぞれに人員が必要ですし余分な人員は雇えませんから、人員の流動性はありません。どちらも一杯一杯な状態になりやすいのです。

ところが3店舗以上で売り上げが上がってくると、1~2人ほど必要に応じて3店舗を回れる人員が出てきます。その結果、スタッフのシフトや人件費の効率が良くなってくるのです。

他にも、麺やスープ、具材なども3店舗あると、店舗ごとの消費の変動に合わせて融通し合えるので無駄が非常に小さくなりますし、広告費についても、3店舗まとめて広告を掲載したり、印刷の発注をしたりできますので、効率がよくなります(図4–1)。

『ラーメン店投資の極意』より引用
(画像=『ラーメン店投資の極意』より引用)

3店舗目をオープンしたオーナーさんたちは、皆さん一応に効率が良くなったと実感されています。

6店舗を超えたらスーパーバイザーを雇う

多店舗展開したときに3店舗になると運営効率が高まるとお話ししました。この効率の良さも5店舗目くらいまでは感じられるのですが、6店舗目になると、たった1店舗増えただけなのにもかかわらず、途端にオーナー自身が直接運営することが難しくなります。

これは、おそらく1週間に簡単に回れる店舗の数の限界が5店舗だからなのだと思われます。あと1店舗くらいなんとか見られるのではないかと思われるのですが、私の体験上、5店舗までは各店舗のことを100%管理できていたのが、6店舗になると、途端に各店舗の20%ほどしか見られなくなります。これまでプロデュースしたどのオーナーさんも同じことを言われるので、やはり5店舗までが直接管理できる店舗数なのでしょう。

そこで6店舗目をオープンする頃からは、スーパーバイザーを雇うようにします。スーパーバイザーとは、オーナーの代わりに店舗の運営管理をする役割です。コンビニエンスストアなどフランチャイズ店舗を多く持つ業態の業種には、よく見られる職種です。

スーパーバイザーには全店舗の管理を依頼しますが、何もかもを任せるのではなく、役割分担を行います。たとえばスタッフのシフトや採用、評価といった一部の業務を任せるのでもよいですし、お金の管理以外はすべて任せるのでもいいでしょう。お金の管理は、店舗数が増えていっても、10店舗くらいまでの規模であれば、オーナー自身で行うことが大切です。

スーパーバイザーはオーナーさんに忠実で誠実な人柄で、ラーメン店運営の経験者が適任です。新たに雇ってもかまいませんが、既に5店舗を運営しているのですから、それらのお店の店長の中から1人を選んでスーパーバイザーに昇格させるのが理想的です。お店の内情にも詳しく、運営ノウハウにも長けていることに加え、人材育成の面からもメリットは大きいのです。

昇格させた店長の後任を、同じお店のスタッフの中から選べば、他店の店長やスタッフにとっても、将来のステップアップの可能性を見ることができるので、励みになるでしょう。もちろん、スーパーバイザーに抜擢された店長は、オーナーからの信頼の厚さと評価の高さを感じてやる気を出してくれますが、当然、給料も店長時代より上げることで、さらにやる気を出してもらいましょう。

将来的にさらに拡大していこうと考えるなら、スーパーバイザーの登用以外にも、この段階で店舗経営やスタッフを指導するためのマニュアルや体制の整備を始めておく必要があります。

たとえば、新しく店長になった人やスタッフになった人が、各業務の範囲や進め方が分かるよう文書化した店長マニュアルやスタッフ研修マニュアルを整備します。ほかには、店内清掃マニュアルや厨房内清掃マニュアル、グリストラップの清掃マニュアル、ラーメンの仕込みマニュアルなど、多くのマニュアルがあります。指導内容は複数存在し、一つひとつ指導していかなければなりません。これらのマニュアルはフランチャイズ展開をする際に、新たに加盟した店舗への指導マニュアルとしても活用できます。

また、5店舗の中から店長やスタッフの仕事ぶりが模範となる店舗を選び出しておくことで、新たに加盟した店舗の店長やスタッフの研修用店舗として機能することになります。

ラーメン店投資の極意
藏本 猛Jr
ラーメンプロデューサー
一般社団法人国際ラーメン協会 代表

1969年神奈川県生まれ。
1996年、27歳で父親が経営するゴルフ場の社長に就任。200億円の負債を抱えるも、多くの人に助けられ帳消しにし、10年間の社長生活を終える。
その後、ゴルフ場で人気だった「ラーメン」に着目。ラーメン店の開業を目指し、スープや麺の研究を始め、メーカーからの製品化を果たす。
2010年に東京で開業。その後、直営店を15店舗まで拡大した後、全店舗を無償で譲渡。
2014年にラーメンプロデューサーとして活動を開始。現在、月100件以上の依頼が殺到し、プロデュース実績は450店以上。
2019年に一般社団法人国際ラーメン協会を設立。日本のラーメン文化を海外に発信、海外出店のサポート活動を行う。
2020~2022年のコロナ禍においても50店舗以上の出店をサポートし、フランチャイズ化に成功したお店も多数輩出。出店場所の設定からオープンまでをワンストップでサポートするほか、海外出店のサポートも行う。

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