「大きくなったね」「お母さん似の美人さんだね」物心ついた頃から、筆者は謎のおじさんにそう言われるようになった。謎のおじさんは1人ではない。何人もいる。父に客間に呼ばれて謎のおじさんに挨拶をすると「しっかりご挨拶できてお利口さんだね」などと言ってお菓子やお小遣いをくれる。筆者にとっては「こんにちは!」と頭をペコリと下げるだけでお宝が手に入る楽しいイベントのようなものであったが、一方で子ども心に「一体この人達は何者なんだ?」と不思議に思っていた。その謎のおじさん達が、父の事業の出資者だと知ったのは何年も後の話だ。「可愛い娘をビジネスの出汁に利用するなんて!」と思春期を迎えた筆者は憤りを感じたものだが、現在は父の気持ちも分かるような気がする。当時は家族ぐるみでお付き合いをすることも、信頼と好感を勝ち得るために必要なことだったのだろう。

それはさておき、21世紀の現在はインターネットを介してお金を借りたい人と貸したい人をマッチングする「P2Pレンディング(Peer-to-peer Lending)」など、融資の選択肢も広がっている。P2Pレンディングといえば、数年前に中国で経営破綻が相次ぎ規制当局が介入する騒ぎとなったが、最近は新型コロナウイルスの感染拡大が思わぬ追い風になっているようだ。今回はP2Pレンディングの最新情報をお届けしよう。

P2Pレンディングの「光と影」

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(画像=klyaksun / pixta, ZUU online)

P2Pレンディングは銀行等の金融機関を介さないため、融資を受けたい側にとっては(銀行等の金融機関に比べ)審査が柔軟で迅速、かつ少額から融資を受けやすい点がメリットの一つとされている。一方、P2Pレンディングの利回りは10%を超えるものもあり、融資する側にとっては高リターンを狙うことも不可能ではない。ちなみに、2017年9月28日に日本銀行(日銀)が公表した『P2Pレンディングの仕組みと投資家保護の在り方:英米日の法律構成の比較を踏まえて』によると、P2Pレンディングは2005年に英国業者がサービスを提供したのが始まりだという。当初はインターネット上で「株式投資のような専門知識もいらず、銀行の預金口座に眠らせているお金を貸し出すだけで効率的に増やせる」といった口コミが広がり、市場規模は急速に拡大した。