火災保険に加入する際、保険金額や保険料に目が行きがちだ。

しかし重要なのは、それだけではない。必要な時に必要な保険金を受け取れるかどうか、どうもらうかを考えて加入すべきだ。

生命保険は、加入時に被保険者の健康状態や既往症などを診査して、引き受け可否や保険料が決まる。加入後に疾病などで変化が生じても、加入した際の条件で保険金が支払われる。

これに対して損害保険は保険金の支払時に調査が行われる。加入後の増改築など加入時の内容と乖離が生じていると、受け取る保険金が減額されることがある。いざという時、確実に受け取ることができるよう正しく加入し、適宜、見直したい。

リスク細分型保険はどうか

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(写真=Concept Photo/Shutterstock.com)

保険会社のデータによると、保険事故が多いのは汚破損や水漏れで風雪災など自然災害が続いている。保険金の支払額も自然災害が最も多く、水漏れや汚破損が続いている。火災は1件当たりの支払保険金は大きいが件数そのものは多くない。

損害保険料率算出機構のデータによると、2014年度に払われた保険金1311億円のうち、自然災害が520億円と約4割を締めており、風災が最も多くなっている。自然災害の被害が多かった2013年度の火災による保険金の支払いは15.5%である。

火災保険は、火災や落雷、爆発の他、水災や風雪災などの自然災害や盗難などが対象だ。構造や地域に応じて保険料が設定されている。鉄筋や鉄骨、ツーバイフォー、木造在来工法などで保険料が変わり、都道府県などでも異なる。

最近はリスク細分型の保険が増えており、水災や雪災など加入者がリスクを選ぶことができる。いざという時、加入者が負担する免責額で保険料が変わる。台風や雪が多い地域は自然災害の免責額は小さい方が安心だが、災害時に被害を受ける可能性が小さければ免責を設けることで保険料を抑えることができる。保険料が極端に安い保険は、補償を減らしているか免責が大きいことがあるので注意が必要だ。

自治体等が作成しているハザードマップも活用したい。ハザードマップは自然災害による被害を予測し、地図化したもので、予測される災害の発生地点や被害の拡大範囲および被害程度、避難経路、避難場所などの情報を示す地図だ。

【参考URL】
http://disaportal.gsi.go.jp/

過去のデータなどから起こり得る災害を想定して作成しており、想定を上回る災害はないとは言い切れないため絶対ではないが、補償を検討する一助になる。

保険金の支払い多い汚破損と水漏れ

汚破損を対象とする商品が増えている。汚破損とは、ついうっかり物を落として床に傷がついたなど過失による損害である。従来の補償対象外だったが、最近は対象とする保険商品が増えている。水漏れも損害額が大きい。上階からの水漏れで、壁紙やフローリングが全面張り替えとなることがある。水漏れの原因となった設備や部屋等は補償対象外で、水漏れ被害を受けた部屋などが対象となる。

水漏れや風雪災など、基本構造に影響がないケースが多く、全壊や半壊にはならないが損害額は大きい。加入している保険金額の上限に達することもある。火災保険は保険金が支払われても、それまでに支払われた保険金は減額されないが、一度の事故で上限に達すると保険契約は終了する。(CFP 佐々木和義)

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